築50年の賃貸併用二世帯住宅の活用に向けたリフォーム戦略と事業計画

相談者の現状

物件所在地

東京都江東区

所有物件

築50年のRC造4階建て賃貸併用二世帯住宅

物件構成

1階: 店舗
2階: 娘夫婦の住居
3階: 相談者の自宅と賃貸住宅1戸
4階: 賃貸住宅2戸

賃貸状況

現在は全3戸の賃貸住宅が入居済み。
ただし、賃料は周辺相場よりも低いため、
空室が出ると次の入居者が決まるまでに時間がかかる。

検討事項

今後は2階に相談者が住み、
3階に娘夫婦が移住できるようにリフォームを検討中。

課題:

・老朽化した建物のリフォーム費用や賃貸の収益性に不安。
・将来を見据えたリフォームか建替えの選択に迷っている。
・相続対策(財産分割)も重要な課題。

賃貸併用二世帯住宅の最終提案と実施計画

相談者は、2年前に外壁や屋根の防水工事に2,000万円を費やしており、新築よりもリフォームを優先したい意向がありました。しかし、築50年という物件の古さと、相続対策を視野に入れる必要があること、さらに敷地が40坪でありながらも7階建てが可能な用途地域にあることから、リフォームと建替えの双方を比較することを提案しました。

・希望するリフォームが現実的に可能かを確認するための家屋調査
希望するリフォームは可能でしたが、築50年を超えるRC住宅の改修費用は4,000万円以上かかることが判明。

・新築や建替えの賃貸併用二世帯住宅プランと概算の費用見積もりの提示

新築・建替えとリフォームのメリット・デメリットを比較し、それぞれの事業計画を作成。
事業計画上、リフォームの方が収益性は高いものの、将来的なメンテナンス費や賃貸募集の課題を考慮すると、今の段階で新築・建替えを進める方が有利であるとの結論に至りました。
市場調査より40坪の敷地を有効に活用するプランとして、30㎡以上の1DKや1LDKタイプの需要が高いことが判明。大手ハウスメーカー3社に1LDK中心の7階建ての新築プランをの提案と概算見積もりを得ました。

・退去にかかる手続きや費用の見積もり(現入居者の状況に基づく)

賃貸住宅3戸と店舗の4世帯についてヒアリングを行い、比較的少ないコストで実行できる見通しが立ちました。具体的なスケジュールと文書の準備も進めています。

・相続人の現状把握

相続対策として、相続人の確認を行いました。妹様以外にお兄様が2人いますが、全員が妹様に不動産を引き継ぐことに同意しており、文書で確認が取れているため、将来的な相続問題も回避できる状況です。

・利回りと融資の承認

今回の計画は、表面利回りは5%で、これは自宅部分も含めた事業計画によるものですが、自宅を除いた賃貸部分の利回りは約9%まで改善できました。当社の基準である最低10%に近づけることができました。唯一の懸念点は、敷地40坪に対して2億円以上の借り入れを行う必要があることでしたが、大手ハウスメーカーの協力により、金融機関からの融資承認を得ることができました。

以上の結果から、7階建て賃貸併用二世帯住宅を建設する計画が進行しています。

担当エージェント紹介

栗原 浩文

栗原 浩文Hirofumi Kurihara

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会会員) 2級建築施工管理技師